インテリア・アートと睡眠の関係を調査 インテリアの効果をデータ化へ

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 インテリアやアートは人々の精神的な安らぎ、心の癒やしに効果があるとされているが、どうしても感覚的なものであり科学的根拠をもとに提案することが難しいのが実情だろう。
 そうした中で、非常に興味深い調査が11月2日から1ヶ月間の予定で実施されている。Plus Art推進会(染矢由美子代表)による「インテリア・アートと睡眠の関係」をテーマとしたモニター調査である。
 同調査は、(公社)インテリア産業協会の令和元年度調査・研究活動助成事業に採択されており、またオンラインIBNに既報の通り、クラウドファンディングを活用して活動資金を調達したことでも大きな話題となっている。
 このモニター調査を行っているPlus Art推進会とは、「こころをみたす アート的暮らしを提案」することをコンセプトに今年4月にICを中心とする13名によって設立された研究会で、その第1弾の研究テーマとして取り上げたのが「インテリア・アートと睡眠の関係」である。
 「昨今はインテリアの癒やし効果が認められ病院や介護施設などで積極的に取り入れられるようになっていますが、やはり課題は効果の数値化です。そこで効果の数値化が可能な睡眠をテーマに研究をスタートしました」と語るのはPlus Art推進会の染矢由美子代表だ。
 同調査は、モニターとして5組の夫婦を募り、従来の寝室での睡眠とインテリアやアートを取り入れた後の睡眠の変化を、ウエアラブル端末を活用して計測するというもの。インテリアやアートによって実際に睡眠の量や質に改善がみられるのか、数値で検証しようという試みである。
 ちなみにウエアラブル端末はfitbit社の製品を使用する。睡眠時間の他に「レム睡眠」、「深い睡眠」など睡眠の質も計測できるようになっている。
 こうした数値と併せて、モニターには睡眠日誌を記録してもらい、感覚的な睡眠の状況もレポートしてもらう。
 具体的な調査手順であるが、最初の一週間はリフォーム前の状態で睡眠の状況を計測する。続く第二週目は壁紙、カーテン、ベッドリネン、クッションなどインテリアを替えて計測する。第三週目はそこに絵画などのアートを取り入れる。そして最後の第四週目に照明スタンドを設置するというように段階的に空間を変化させて、睡眠状況の変化を確認していく。
 また、インテリアコーディネートについては、Plus Art推進会のメンバー10人が2人1組となって、モニターの好みのインテリアを提案する。
 「モニターの方々には、普段通りの生活をしていただくようにお願いしています。またインテリア提案については、睡眠に効果的なインテリアという考え方ではなく、あくまでモニターの好みのインテリアを提案しインテリアそのものの効果を検証するという方向性で統一しました」
 調査データの分析・検証結果は、睡眠の専門家である武蔵野大学名誉教授・医学博士の橋本修左氏のアドバイスを得ながら、来年2月頃にまとめて発表する予定である。またクラウドファンディング参加者へのリターンセミナーは来春に行う予定とのこと。
 検証結果はもちろん、モニターへのコーディネート提案の実例紹介も含めてレポートする予定である。
 「今回、クラウドファンディングでは多くの方々にご賛同いただき、また多数の企業にもご協賛いただき調査を実現することができました。今後もこうした調査・研究を続けていきたいと思っています」とのことであった。