輸入製品供給に打撃深刻 国・都など小規模事業者に緊急融資
中国の武漢に端を発した新型コロナウイルスの感染拡大は、日本でも2月から感染者が現れはじめ、3月25日時点で国内で確認された感染者は1200人を超えている。国内経済にも甚大な影響が出るなか世界保健機関(WHO)はこれを「パンデミック」と認定、異例の危機対応が始まった。国内産業は中国から輸入される製品・部材の供給が断たれるなど、深刻な影響が出ている。
新型コロナウイルスの感染は世界規模で拡大を続けており、その影響は国内でも大きくなっている。有効な治療薬の開発が待たれるなか、政府は大規模イベントの中止や延期、企業にはテレワーク等の対応を要請。国交省・厚労省・環境省が3月に合同開催を予定していたZEH等合同説明会は中止とされた。その他、公共施設の臨時閉鎖や大型店舗の営業時間短縮等の対策が取られているが、感染拡大は未だ収まる気配がない。
こうした、国を挙げての感染防止対策の長期化がもたらす様々な弊害は、業界にも影を落としている。
また、中国からの2月輸入額は全体で前年同期比53%とほぼ半減しており、工場の生産停止や物流の混乱による製品材料や部材等の未達といった影響が出ている。東リは、一部の製品については在庫が回復、一部については在庫僅少としている。リリカラは、カーテンの一部商品について生産が遅れ品薄であるとしている。サンゲツは、中国生産等のクロス・床材に品薄または欠品が生じているという。
工事の都度、メーカーから部材を調達する小規模なリフォーム事業者などは4月以降の影響拡大を懸念する。
講習会やイベントにも影響は及ぶ。日本クリーナーズ防炎協会は、予定していた勉強会を時期未定で延期とした。一般社団法人壁装協会は、3月18日に予定していた2019年定期総会・講演会の延期を決定している。
大規模イベントでは、2月19日に予定されていた「江戸TOKYO 技とテクノの融合展2020」が感染リスク回避最優先を理由に突然の中止を決定。3月3日から東京ビッグサイトで開催予定だったJAPAN SHOP、建築・建材展などを含めた「日経メッセ街づくり・店づくり総合展」が中止となり、3月26日からの開催を予定していたペット関連産業の見本市「インターペット」も中止となった。この影響で業務を縮小する動きも出ている。各社のショールームも営業時間の短縮などで対応。リビングデザインセンターOZONEでは、館内4カ所のショールームを閉鎖した。
国等はこの事態で資金繰りが悪化した事業者に対する緊急融資を行っている。東京都は、100万円を限度額とする中小企業従業員向けの実質無利子の生活資金融資も実施している。