マーケティング、デザインに変化の波 【レポート】 越川洋平 オーブインターナショナル代表
インテリアデザインのトレンドって、他の分野のトレンドに比べて世界情勢や経済問題、社会問題等の影響をより強く受けているのですが、それが年々強まっています。人々の暮らし方そのものに直接的にかかわるものだし、アイテム自体もグローバルに流通していることと、SNSの普及によって、トレンドの広まり方も加速しています。ハイムテキスタイルのトレンドテーマも、昨年は米中貿易摩擦やブレグジット等から来る先行き不安がベースにあって、それをデザインの力で取り除いていきましょうというのがメインテーマでした(一昨年は大都市に集中する人口問題へのソリューション)。
そんな流れの中、今年のメインテーマは、「WHERE I BELONG」。「自分は何に属するか?」、これは世界的に中心となる消費者の世代が変わり、志向や消費形態が大きく変わっていますよ、ということが根底にあります。これはインテリアに限った話ではなく、多くの分野のマーケティングで言われている重要な問題なのです。
消費活動の中心世代が変わった
いままで、「Generation X(X世代)」と呼ばれる1965年~1980年生まれ、2020年に40~55歳になる人達が消費活動の中心とされてきました。
それがここに来て、その次の世代にあたる「Generation Y(Y世代)」 、1981~1996年生まれ、24~39歳の人口の割合が上回り、消費活動の中心となる年齢層が変わったことが大きな問題になっています。「ミレニアル世代」と呼ばれるこの世代ですが、その上のX世代以上の層と考え方や消費傾向などが大きくガラッと変わったから、かなりの大ごとになっているのです。
ミレニアル世代の特徴
物質的に豊かな環境で生まれ育ったこともあり、所有欲が少なく、必要な物は必要な時に借りれば良いと考える傾向があります。
またデジタルネイティブとも言われるこの世代は、当然インターネットとのつながりが深い。多様性を受け入れ、自己的にも社会的にも「意義」を尊重する。消費傾向として面白いのがスペックを重視せず、ストーリーに共感できるかどうかを重視するところ。基本的にコスパを重視だけど、ストーリーに共感できるものは多少高くても買う。iPhoneなどが典型的な例と言えます。
国籍や性別より「トライブ」を重視
ネット社会でグローバルに育ったこともあり、上の世代に比べて国籍や性別、職業などに対しての帰属意識が薄く、それよりも「トライブ」を重視するのがこの世代でもあります。「トライブ」とは、共通の趣味や志向、思想などを持つ者同士のコミュニティを指します。「ベジタリアン」「エシカル志向」とか、「LGBT(セクシャルマイノリティ)」もそうだし、「アニメ好き」や「◯◯ファン」なんていうのもそう。そういったトライブを重視し、いままでの国籍や職業などからアイデンティティのあり方が移行しています。