3月の業績、6割の専門店に悪影響 特に前売り業態が深刻

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 新型コロナウイルス感染蔓延による経済の悪化が深刻化してきている。もちろんインテリア専門店を取り巻く環境も厳しさを増しており、経営も非常に難しい舵取りが迫られている。そこで、緊急のインテリア専門店アンケートを実施、専門店の現状と新型コロナウイルス対策について調査した(回答数75)。
 質問事項は、 Q1「3月の業績にどのような影響がありましたか?」、 Q2「その影響について具体的にお聞かせください」、 Q3「現在、どのような対策を実施していますか?」、 Q4「収束後に向けて、どのような対策をお考えですか。また今後のインテリア市場はどのようになるとお考えですか?」で、4月2日から調査を開始した。
 ところが、その後数日で全国的に感染者が増加、4月7日には緊急事態宣言が発令されてからは市場環境がさらに激変したことで、4月8日~13日にて追加調査を実施した(回答数80)。
 質問項目は、 Q1「今後の業績にどのような影響があるとお考えですか?」、 Q2「現在、どのような新型コロナウイルス対策を実施(実施予定)していますか?」、 Q3「今回の新型コロナウイルス感染拡大の現状について、インテリア専門店として思うところがございましたらお聞かせください」である。
 これらの質問項目を整理してレポートする。現在の対策状況については、1回目と2回目でほぼ同じ項目で質問しており、短期間ながら対策の考え方の変化も注目していきたい。

 

 

3月の業績に対する影響について

 
 新型コロナウイルスの影響は、2月後半から発生しはじめており、3月の需要期に直撃した形になった。
 実際のインテリア専門店の状況は下の円グラフの通りで、「甚大な悪影響が発生」(8%)、「悪影響が発生」(51%)で約6割のインテリア専門店が影響を受けたことが分かる。
 一方で「影響はない」という回答も36%あり、少ないながら「良い影響が出た」という専門店もあった。
 しかし「前売りメイン」に絞ってみると、より深刻な状況がみてとれる。3月末までの時点では、内装工事業やBtoB、リフォームなどそこまで影響がでていない業態もあったことが分かる。

 


 

今後の業績に対する影響について

 
 次に、4月以降の今後の業績に関する影響をどのように捉えているのかということだが、「甚大な悪影響が出る」(35.4%)、「悪影響が出る」(59.5%)と97%のインテリア専門店が業績悪化を予測、「影響がない」という回答はわずかに2.5%にとどまるという非常に厳しい結果となった。
 4月7日に発令された緊急事態宣言以降のアンケートということもあり、第1回目の緊急アンケート調査と比較してさらに危機感が高まっている。
 ここまでくると業態による影響の差はあまりなく、危機意識はインテリア専門店共通ということがいえる。
 フリーコメントにも多数意見が書かれているが、とにかく収束の見通しが立たないという点に尽きてくるのだろう。

 

 

 

 

緊急事態宣言後に危機意識高まる


 新型コロナウイルス感染拡大という状況下において、インテリア専門店が実際に行っている(あるいは実施を予定している)対策とはどのようなものか。
 「現在、どのような新型コロナウイルス対策を実施していますか?」という質問で調査したわけだが、前述したとおり、緊急事態宣言発令後に日本国内の危機感が大きく高まったことで、インテリア専門店の対策状況もかなり変化した。そこで、緊急事態宣言発令の前と後で別々にアンケート調査を行った。その結果が下の棒グラフである。
 全体的な傾向としては、緊急事態宣言発令後はほとんどの項目で発令前よりも高い数値になっており、対策がより強化されていることがわかる。今回のアンケート調査期間は4月13日までとしており、現在はさらにこの傾向は進んでいると考えられる。
 それでは対策の内容についてである。多くの選択項目を並べているが、「自粛状況」、「具体的な対策状況」、「経営面での対策状況」といった形に大きく3つに分類できる。
 まず「自粛状況」としては、「ショップ・ショールームの営業時間短縮」は緊急事態宣言後に大きく増加、また「臨時休業」についても土日や平日に限らず、一定期間に拡大する動きがみられた。
 また「イベントの自粛」は、3月から始まっていたため発令後は逆に減少、一方で「イベント・セールなど販促の強化」(売上確保の観点で)は自粛ムードの中で減少した。一部のインテリア専門店からは、販促活動によってクレームが生じたという話も聞いたが、自粛と営業の両立の難しさが垣間みられる。
 次に「具体的な対策状況」については、「スタッフのマスク着用義務化」、「消毒液の設置」は約7割に達するなど、営業を継続する上での不可欠な対策として多くの専門店が実施している。また「テレワークの導入」、「検温」、「外出自粛」、「家族への聞き取り」など従業員の健康管理への意識も高まっているようだ。
 売上確保に向けた具体的対策では、「インターネット通販の強化」に加え、少ないながらも「オンライン営業の導入」という新たな取り組みを開始する専門店も登場している点は注目だ。専門店らしいインターネットを活用した新しいビジネスモデルの構築につながるのかもしれない。
 最後に「経営面での対策状況」であるが、「特別融資」(新型コロナウイルス感染症対策融資)を活用する専門店が危機意識の高まりとともに増加している。「助成金」(雇用調整助成金)についても同様だ。収束が見通せない中、あらゆる状況を想定する専門店が増加しているということだろう。今後は給付金制度もスタートするので、検討をしておく必要がありそうだ。
 なお、その他の対策として納品時のマスク使用、ビニール手袋を着用しての採寸・取り付けなどがあった。