独自のトレンドを発信し、出展アイテムとリンク ~ますます存在感をみせるインド勢~

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 4月20~23日の4日間、「第34回香港ハウスウェアフェア」「第10回香港インターナショナル・ホームテキスタイル&ファニシングス・フェア」が、香港島・湾仔地区の香港会議展覧中心にて開催された(主催:香港貿易発展局)。
 4月の香港は、国際的な展示会が集中するシーズンである。混迷を深める米中間の貿易問題や、中国経済減速の影響が懸念されるなど、必ずしも展示会にはいい状況ではない。
 今回は、例年最も目立つ場所に出展していた常連の大企業が出展を見送った訳だが、実は両展に先立って開催されたエレクトロニクス関連の見本市は、AI時代のおかげか、逆風を跳ね返して大盛況だったとか。日用品類の貿易は、なかなか難しいということだろうか。
 ちなみに、会期の日時を固定し、毎年曜日ごとにずれて開催される両展示会は、今回は土曜日スタートとなった。
 しかも今年は、ちょうどキリスト教における復活祭の連休と重なったため、主催者側では、海外バイヤーズミッションを組織、買い付けする専門的なバイヤーの確保を図り、日本人バイヤーたちも多数来場、商談する光景が見られた。
 「ハウスウェアフェア」には26カ国・地域2160社が出展した。
 従来との大きな違いは、トレンドセミナーを担当したWGSN社のプロデュースで、2020年春夏シーズンを先取りした、「HARMOYLAB」「PLAYFUL PLUSH」「HYPERROOM」「PRIMITIVE FUTURE」という4つのトレンドを設定。会場内に展示コーナーを開設したほか、各ホールの展示構成とリンクさせるなど、トレンド感を訴求する情報発信型への転換を模索している点である。今後は、日用品・装飾品だけでなく、家具や窓回りを含む、空間志向のトレンド提案を期待したい。
 他方、「香港インターナショナル・ホームテキスタイル&ファニシングス・フェア」「ホームテキスタイルフェア」では、窓回り製品の出展が見られなくなり、トータルインテリアという訳にはいかなくなったが、寝装品やカーペット、手織・手結び絨毯類を中心に7カ国・地域310社が出展。
 中でもインドはカーペット関連3団体がそれぞれパビリオン出展したほか、中国・浙江省の産業企業7社がグループ出展し、寝装品を訴求した。
 国別に見ると、やはり様々なカテゴリごとにパビリオンがある。インドの存在感が圧倒的。またホールの外通路には、今年もバングラデシュ業者のストリートが構成されていた。大量にこうした製品を見られる展示会はほかにないだろう。
 今回は、ユニークな出展ブースを紹介した。
 中でも特に印象に残ったのは、例えば、インドの「RASHI」というプロジェクト。ムンバイから車で3時間ほどのところにある、貧困地域を拠点に、スラム街に住む女性50人にハンドクラフトの技術を教え、自立支援を行っているのだとか。サカナやサボテン、虫や動物などのアイテムは、手が込んでいて、なんともいい味わいがある。バックグラウンドとなる活動のことも含め、先進国で受け入れられる可能性があり、次回はもっと目立つ場所をあてがってほしいものだ。
 また「香港ハウスウェアフェア」では、キッチン用品やテーブルウェアがどうしても目立つが、実はこういう商品が会場の隅っこで人気だったりする、という典型と言えるのが、中国の瑞亨紡織品(上海)有限行司(Reign Textile(Shanghai)Company.,Ltd)のウォールクロスであろう。これは、表面のファブリックと裏打ちになる不織布の間に熱で溶ける2枚の粘着層をセットした4層構造の糊を使わない壁紙。粘着層には竹炭の繊維を含み環境に優しいとか。施工は高温のスチームで行う。施工には業務用の大型機械が必要。中国における防炎認証も取得しているそうだ。