レディスウェアのカラー傾向を分析

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 年に2回、半年おきに掲載している、この「トレンドカラーウォッチング」は、(一社)日本流行色協会(JAFCA)のご協力のもと、消費者の関心が高いレディスウェアの直近シーズンにおける傾向から、ファッション感度が高い女性たちが、いまどんなものを好んでいるかを知り、インテリアのヒントになりそうな情報を読み解くことを狙っている。
 ドイツの「ハイムテキスタイル」やフランスの「デコオフ」など、インテリアファブリックス業界発信の難解なトレンド予測ではなく、周辺業界の傾向から、日本の市場における消費嗜好は「いままさにこんな感じ」だということを、なるべくわかりやすくお知らせしたいと考えている。
 そもそも、この企画を御覧頂いている読者ならお気づきのように、レディスウェアのAW(秋冬)は、SS(春夏)と比べ、さほど年ごとの大きな変化が起きにくいものなのだが、特に今季は、1年前に掲載した2018~2019AWのイラストと、基本的に大きな変化が見られない。
 もちろん、大きな変化がないことも立派な答えに違いないのだが…。
 取材の際には、いつもJAFCAの会議室に、年代別の様々な女性向けファッション誌を山と積み、ページをめくりながら、季節のトレンドを表すキーワードを探すのだが、今季は各雑誌社編集部の苦労がしのばれるといった感じである。

 


 

アースカラー流行の背景には環境意識の高まりも 次のAWはくすみカラーの流れがグレーに振れるか?

 
 2019~2020AWレディスウェアのポイントを以下ざっと挙げていくと…
 まずカラーでは、今季はベージュ、オフホワイト、茶色が圧倒的に多い。
 これは、2019SSにおける、くすみのある「ラテカラー」の流れと言える。
 また、2020年AWでは、広い意味でのアースカラーのバリエーション(茶、こげ茶、テラコッタ、キャメル、ベージュ等)をベースにしたワントーンコーデに、相性がいい同じ暖色系グループのオレンジや赤などを組み合わせる傾向にあるという。
 いまのところ、おおむね「穏やかなブラウン」がメインと言えるが、もともとは「黒」も有力な注目色だった。今後は、くすみカラーの流れから、来るべき2020~2021AWシーズンでは、いまのカラー傾向が、グレー味の方向へ振れるのかどうか、目下注視しているとのことだ。
 フォルムとしてはロングスカートが圧倒的である。
 長めのトップスとロングスカートと、丈の長いどうしの組み合わせに、ちょっとしたスリットで重さを回避しているのが今季の特徴である。このスリットが、今季の(小さな)でヒットデティールと言えるようだ。
 ちなみに、アースカラーの中でも、特に茶系が好まれている背景には、地球温暖化や投棄プラスチックストローなど、いよいよ「待ったなし」の様相を呈してきた、環境破壊への意識の高まりがあると思われる。
 これは、インテリアでも昨今、ホテル、飲食店、商業施設やオフィス空間などに、内装として植物を大胆に取り入れる、「バイオフィリックデザイン」の流行にも通じていると言えそうだ。
 「バイオフィリックデザイン」は、人間を含む生き物は、先天的に自然を好み、自然と繋がりたいという、本能的欲求がある、とする仮説に基づく考え方。「ハイムテキスタイル」「デコオフ」など、ヨーロッパのトレンド報告等でも既にご存知のように、インテリアのトレンドとしては、一昨年あたりから各方面で意識されているが、働き方改革が叫ばれる中、創造性や生産性、働く人の幸福度アップを狙った新しい空間デザインの手法として、我が国でも先進的オフィス等で導入が進んで来ている。