事業に関する組合会員アンケート調査結果

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価格転嫁は8割が対応 労働力不足や人材育成に苦心

東装協は、組合員(各社代表者)を対象に、室内装飾事業の現状と課題、今後の事業継承などに関するアンケートを昨秋に実施した。
原材料・仕入単価上昇に伴う販売価格への転嫁が進む一方で、労働力不足や人材育成の面などで苦しむ現状が浮き彫りになった。以下、今春に調査依頼報告書から主要部分を紹介する。

全組合員345社(9月現在)にアンケート調査票を郵送し、106社から回答を得た。回収率は30.7%。
回答した106社を従業員数規模で分類すると、最も多いのが「2~5人」(36%)、次いで「11~20人」(20%)、「6~10人」(12%)、「51~100人」(11%)と続き、約7割が30人以内。
なお、同アンケートは東京都中小企業団体中央会が実施する「令和5年度団体向け小規模事業者持続化支援事業」の支援により、当組合員の今後の事業活動の持続化に資する基礎資料を得るために実施された。


現状について

◆前年比の売上高見通し(=グラフ①)
「増加」が約4割(「10%以上増加」が約3割)で「減少」よりも多かった。「変化なし」も約4割。



◆前年比の販売・受注単価
半数以上が「上昇」し、そのほとんどが「10%以上上昇」。約4割は「変化なし」。一方で約5%が「10%以上」した。

◆前年比の原材料・仕入単価
9割以上が「10%以上上昇」で、そのうち「30%以上上昇」は1割以上となった。

◆今年度の収益見通し
半数以上の52.8%が「黒字」、8.5%が「赤字」。

◆価格転嫁の対応(=グラフ②)
「転嫁できている」と「ある程度、転嫁できている」を合わせ、8割が対応できている。
「対応できていない」のは16.1%だった。
転嫁できていない理由としては、「顧客(発注元)が認めてくれない」、「競合先があり、上げることができない」が多く、「そもそも価格交渉を行っていない」との回答もあった。




直面する課題

◆自社の経営課題(=グラフ③)
「人材採用(人手不足)」と「原材料・燃料費等の物価高騰」が最も多く、「人材育成・従業員教育」、「競合他社との価格競争」、「インボイス制度」と続く。


◆自社の労働力不足状況
様々な課題のなかでも「労働力・人手不足」は深刻で、6割以上で問題となっている。
また、その対応策としては、「従業員・知人等からの紹介」は最も多い。
他に、「人材紹介会社の利用」、他に、「人材紹介会社の利用」、「職業安定所の利用」、「外国人労働者の採用・活用」、「女性労働者の採用・活用」など。

◆物流の2024年問題
多くの組合員は「物流コスト増に伴う資材価格の高騰」が自社事業に影響すると見る。
また、「資材納期の調整等に伴う業務の負荷」、「資材納期の遅延に伴う現場作業員の手配」を心配している。


今後について

◆市場動向
住宅、オフィス市場ともに「リフォーム・リノベーション」が拡大するとの見方が多い。

◆自社の事業展望(=グラフ④)
既存事業に専念しつつ、「現状維持を図る」のが36.8%、「規模の拡大を目指す」のが32.1%となっている。
一方、「室内装飾周辺領域に事業を拡大する」と「室内装飾以外の新事業で拡大を目指す」のが、合わせて2割ほどある。


事業承継

◆事業承継の予定・意向(=グラフ⑤)
半数以上は事業承継の意向を持っている。
一方、「現時点ではまだ、明確に決まっていない」は35.8%。また、「自分の代で廃業予定」が9.4%。
事業承継者としては、「子ども」が44.2%、「自社の役員・社員」が32.6%となっている。「社外からの登用」は4.7%。

◆事業承継時の問題点(=グラフ⑥)
「一般従業員から支持・理解を得ること」や「後継者を教育すること」、「取引先との関係性を維持すること」が上位にあがる。


東京室内装飾新聞(第695号)より引用